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2005年11月11日

「正確に伝達するコツ」

お客様との間でも社内でも、(書面ではなく)コトバのみで何かを
伝えたり説明をしたことで、行き違いが生じ、トラブルになった
ご経験があるのではないかと思う。

我々の仕事は一人きりで完結することなど滅多になく、ほとんどが
チームで仕事をしている。
お客様と共同作業をして進めていく案件も多い。

そういう環境で起こる、例えば「言った」「言ってない」という
揉めごとはビジネスマンとして一番ドン臭いし、何よりもお互い
に気まずい・・・。

なんだろう?独特の気まずさがある。
特にお客様との間で起こると、せっかくの心のつながりに隙間風
が吹くような感覚になってしまうこともある。

そもそもそういう事態になること自体、プロとして恥ずかしいし、
お客様に対して大変失礼なことである。

皆さんも少なからずその類の失敗を経験し、そこから知恵を絞って
色々工夫をされているだろう。

本日は、私も失敗の中からせめて同じことが起こらぬよう工夫を
重ねてきた者の一人として、コツ(だと勝手に思っていること?)
を申し上げたいと思う。


まず私は、人とのコミュニケーションについて、「前提」を
こう捉えている。

「『表現力』が不充分な人が言い、『理解力』の不充分な人が聞いている」

「表現者」側も「理解者」側も、お互いに悪気なく、不充分なのだ。

なぜなら相手は自分ではないし、自分は相手ではない。
ましてやエスパーではないのだから、(背景等も含め)100%
共有するなんて無理である。

はじめからこう考えておくと、せめて相手に配慮をした伝達が
できるように思う。

だいたい自分の「表現力」を客観的に見てみて、「私は大丈夫」と言える人は
一般的には稀だろう。
対人コミュニケーションについて専門的なトレーニングを積んできた人はそう
多くはいないだろうし、学校ではそんなものは教えていない。

ほとんどの方が高校や大学等、人との共同作業を経験し始めた頃にようやく
必要性に目覚め、先輩方や周囲の人の「見よう見まね」という感じで、
何となく身に着けてきたものではないだろうか。

技術の裏づけが不充分だとすると、いうなれば「我流」のまま

ということは、いつも申し上げるが「本能の赴くまま」、すわなち「自分中心」
コミュニケーションを、それこそ悪気なく繰り返している可能性がある。

しかも周囲とのコミュニケーションが上手くいかない、と漠然としたストレスを
抱えてしまっているのだ。

こうして改めて申し上げるのはもちろん居直ることや評論することが目的では
なく、より良いコミュニケーションのためのちょっとした「コツ」をご提案したいと
いうことである。

ではその「配慮」とは何か。

当然、へりくだるとかそういうことではなく、伝えたい人に伝えたい
ことが「正確に伝わるための『配慮』」である。

「結論から話す」・・・、とかはあまりに当たり前のことなので今回は
省略させて頂き、私自身が特に気をつけるようになって効果を実感
していることを申し上げようと思う。誠に僭越ながら・・・。

それは「相手の誤解を予測し、その誤解する可能性のあるものも
一緒に表現して伝える」ということである。

「これを伝える際には、こういう誤解があるかもしれないな」と
いうことを予めイメージし、「伝えたいこと」の本体とセットで、
必ず「対比の対象(誤解の可能性のあること)」を伝えてしまう
のだ。


私自身がついそういうクセがあるのでつくづく思うのだが、
私たちは相手に情報を正確に伝えようとするあまり、
つい「伝えたいことのみ」を伝えようとしてしまう。

そこに問題があるように思う。


では具体的に表現としてはどうなるのか。
「『○○ではなく、』△△でお願いしますね」

例えば簡単な例だが、離れたところにある2つのボールを
仲間に取ってもらう時。
『青のボールではなく、』赤のボールを取ってくれますか?」

こういうイメージである。

「んなもん、当たり前やないか!!」とお叱りを受けるかも
しれないが、いえいえ、そういう配慮を自然と身に着けて
いる人はホント少な~い。

自分の表現力(伝達力)不足を思いっきり棚に上げて、
正確に伝わらない責任を相手になすり付けて、
「あいつ、ホンマ理解力ないわぁ」とか言っている。


あと大事なことをもう一つ・・・。
あまりこの「配慮」が過ぎた場合、聞き手からするとバカにされたような
気になることもあるかと思う。

「そんなことまでわざわざ言われんでも、わかっとるワイ!」
とお怒りを買ってしまっては元も子もない。
「正確な情報伝達」のためのせっかくの「配慮」が、それこそ台無しで
ある。

だから必ず、前にこれらのコトバを添えること。
「ご存知だと思いますが、」
「ご承知だとは存じますが、」
「念のためのご確認ですが、」
「しつこい表現で恐縮ですが、」

お相手の自尊心(プライド、力の欲求)をきっちり満たして差し上げること、
キャリアや人格に対する配慮が、返す返すも大事である。

(文責:常務 田畑良一)

投稿者 seiun : 2005年11月11日 12:22

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